購買心理モデル──人はどんな流れで“欲しい”と思うか
・・・こういうのが知りたかったんだよ
と思われるかもしれませんが、正直「心理系」は小手先の域を出ないというのが私の考えです。
いちばん大事なのはやはり読者視点。
心理の理解も読者視点あってこそです。
つまり、読者視点の土台の上にテクニックが乗っかるからこそ、セールスライティングの効果は何倍にも膨れ上がる、という前提は忘れないでくださいね。
なぜAIDMAとPASが色あせない?──興味→欲求→決断の王道は今も効果絶大

「AIDMA(Attention(注意) → Interest(興味) → Desire(欲求) → Memory(記憶) → Action(行動))」
や
「PAS(Problem(問題を提示) → Agitate(煽り・深掘り) → Solution(解決策))」
を聞いて、ちょっと古い理論だと思いません?
確かに何十年も前から存在するフレームワークなので「古いな〜」と思うのは正常な感覚だと思います。
ですが、いまだに語り継がれる理由の一つは人間の根本的な“心の動き”が変わらないからです。
- AIDMAなら「注意を引かれる → 興味が湧く → 欲求が高まる → 記憶に残る → 行動する」
- SNS時代になっても、“出会う”→“関心”→“欲しい”→“決断”の流れ自体は大きく変わっていない
- PASなら「問題を提示 → 煽り(深掘り) → 解決策で救う」
- 人は“自分の問題を強く意識した瞬間にこそ、解決策を求める”という性質を持っている
10年前、50年前、100年前ですら、人間の本質は変わっていないですよね。
だからこそ、人間の本質にアプローチできるこれらのモデルは、今でも超重要なのです。
ただ、モデルをなぞるだけでは成果が伸びない場合が多いです。
そこに“読者の生の声”や“説得力ある数字”などの、読者視点や具体要素を埋め込まないと、形だけの器になってしまい、逆に寒い感じになってしまうわけですね。
今すぐ行動!タスク
- AIDMAかPASのどちらかを選び、あなたの商品やサービス(あなた自身でもOK)に当てはめた場合の大まかな流れを5行以内で書き出してみましょう。
- 「どんなヘッドラインなら興味をひけるか?」「読者のどの問題を煽る?深ぼる?」など、ざっくりでもOKです。
フレームワークをどう超えていくか──型を活かしてさらに“収益力”を伸ばす
「AIDMAやPASを覚えたのに、思ったより売れない…」という声はよく聞きます。
そこで問いたいのは、本当にフレームワークを活かせているか?という点です。
フレームはあくまで道しるべで、そこに“読者のリアルな声”や“感情を揺さぶる事例”を盛り込めるかどうかで、結果は大きく変わります。
何を散りばめるの?というのが一番大事なのです。
例えばこれは一例ですが…
AIDMAなら
Attention(注意)
- 五感を使ってみる
視覚・聴覚以外の嗅覚や触覚なども想起させる工夫で、まず注目を集める - ストーリー導入
短編ストーリーやキャラクターを使い、「続きが気になる」展開を演出
Interest(興味)
- 「生の声で自分ごと化」
ターゲットの過去の行動や嗜好など、生の声に合わせた提案をする。 - 社会的証明や共感をさりげなく入れる
インフルエンサーだけでなく、ユーザーに近い人の声で目を離せない状態にする
Desire(欲求)
- 未来像の具体化
Before/Afterだけではなくて、感情面や生活面の変化をリアルに示す - 希少性・緊急性を演出
数量限定や期間限定で「今すぐ欲しい」という欲求を高める
Memory(記憶)
- キャッチーなフレーズやビジュアル
口ずさんでみたくなるフレーズや脳にこびりつくデザインを用いてみる - 接触回数を増やす設計
SNS、メルマガや公式LINEなど、複数のチャネルを使って継続的に存在を思い出す状態にする
Action(購買・行動)
- 行動導線のシンプル化
購入ページまでのステップを最短化し、決済方法もわかりやすくする - 行動後のメリット明示
購入後に得られる特典やサポートを具体的に示し、行動意欲を後押し
なんかはできるわけです。あくまでも一例ではありますが、これらを自分の商品にピッタリ合うように組み合わせてからやっと、理想のAIDMAになるわけです。
PASなら
1. Problem(問題提起)
- 問題を可視化・深刻度の提示
データやチェックリストで、見逃しがちなリスクをはっきり示す - 放置した場合の悪影響
お金・時間・健康・人間関係など、色々な面からリスクを具体例で伝える
2. Agitate(煽り、深掘り)
- ネガティブな未来を想像させる
「このままだと○年後にこうなる」という具体的なシナリオで危機感を煽る - もどかしさに共感する
「どうにもならない」という共感ポイントを強調し、「今すぐ何とかしたい」感情を高める
3. Solution(解決策の提示)
- シンプルで段階的な手順
ステップを細かく分け、誰でも1つずつ取り組みやすい道筋を示す - 成功エピソードと実績を提示
実際に成功したエピソードや具体的な数字で、「自分も同じように解決できる」という確信を得られるようにする
こんなふうに切り口を広げることはできるわけです。
AIDMAやPASを「古い」と捨てるか、「王道」として使いこなすかは、あなたの実践次第です。
ちなみに、分かりやすく「コンテンツ販売の領域」でいうと、大手のセールスライティングは基本的にこの型に則って自分なりにアレンジしています。
今すぐ行動!タスク
- もしAIDMAやPASを使ってセールス文章を書いたことがあるなら、今その下書きやアウトプットを見直し、「読者の具体的な悩み(生の声)」や「成功エピソード」が十分に入っているかチェックしてみましょう。
- 足りなければ、読者の生の声や数字を1つ入れるだけでも改善を狙えます。
興味・共感・安心感の3本柱

人は、「興味を持てない」「共感できない」「安心できない」文章を読み続けることはありません。
ここでは、AIDMAの流れに沿って興味 → 共感 → 安心感を満たす視点を解説していきます。
興味を逃さず離脱を防ぐ──冒頭で「自分の話だ」と思わせる
AIDMAの最初、Attention(注意)を引くために「派手なタイトル」を使えばいいと思われがちですが、それだけでは最後まで読まれない場合も多いです。
- まずは「読者がすでに抱えている悩みや欲求」を直撃するかどうか
- 煽りすぎると「怪しい」と思われ、抽象的すぎても「何が言いたいの?」となり離脱される
さらに言えば、注意を引いたあとが勝負です。
いきなり冒頭だけ成功しても、文章の途中で「やっぱり関係ないかも」と思われたら離脱されます。
たとえば小見出しをこまめに入れたり、読者が得られるメリットを定期的に提示したりして、“先を読みたい理由”を与え続ける工夫をする必要があります。
読者は想像以上に読んでいません。無料のレターや投稿なら尚更です。
今すぐ行動!タスク
- あなたの書いたセールスレターやSNS投稿の冒頭3行を読み返し、「読者の現在の不満や欲求」をきちんと突けているか確認してみましょう。
- タイトルや冒頭を派手にするより先に、読者が「自分に関係ある」と感じやすいキーワードを入れるだけでも変わります。
共感を深め“自分ごと化”──距離が縮まるほど欲しさが増す
AIDMAのInterest(興味)とDesire(欲求)の段階では、読者が「これは私のための情報だ」と思うほどグッと引き込まれます。
ここで「共感」が不足してしまうと、「関係ないなあ」で離脱されてしまうのでとても大事になるわけです。
「運動時間がないなら、このプログラムがおすすめ」
だけで終わらず、
「朝起きた瞬間から子どもの支度で時間がなく、夜は疲れてソファで寝落ち…そんな生活の中でダイエットは無理だと思い込んでいませんか?」
このように生活シーンを描写してあげると、“まさに私のこと…”と読者は共感しやすくなります。
欲求を高めるときも、「痩せられる」ではなく、「痩せたあとの具体的なメリット」を見せると効果的。
たとえば「海で水着を着たときに自信が持てる」や「子どもと走り回っても息切れしない」などをうまく描写できれば、よりリアルな欲求を刺激できます。
今すぐ行動!タスク
- あなたのセールス文で「読者の悩みやシーン」を描写している箇所を確認し、もう少し具体的にできないか考えてみましょう。
- 1行だけでも、「朝7時から◯◯に追われて…」など時系列や具体数値を入れると共感度がアップします。
安心感が最後の一押し──不安ゼロなら購入しない理由がない
AIDMAでいうMemory(記憶)とAction(行動)の部分(特にAction)は、読者が「損をしたらどうしよう」という不安をどう解消できるかがカギになります。
商品やサービスの魅力を理解していても、不安が残ると行動には至りません。
- 返金保証やサポートの充実で「失敗しても損しない」状態を作る
- クロージング直前にメリットを簡単に再提示し、「そういえばこれだけの特典があるんだ」と思い出してもらう
こうした安心感の提供ができると、読者は「じゃあ大丈夫かな」と行動に移りやすくなります。
今すぐ行動!タスク
- あなたのセールス文やLPで、クロージングの直前に読者の不安を払拭する要素が入っているかチェックしてください。
- 「こういうフォローがあります」「もし合わなければ△日以内は返金OK」など、読者が“損をしない”と思える仕組みを提示すると効果的。
主な心理トリガー──どんな手札をどう使うのか
心理トリガーは、「小手先のノウハウだな」と思うかもしれませんが、実際には想像以上にとても有効です。
ここでは代表的なトリガーを整理していきますが、「億を超えるようなセールス」でも、ここで紹介するものを抑えるだけというケースは多いので、磨き上げてください。
限定性・社会的証明──「今しかない」「みんな選んでる」の強烈さ
「今買わなきゃ」とか「みんな選んでる商品」というのはそれだけで買われる理由になります。
- 限定性
- 「先着◯名まで」「◯日限定割引」「数量限定」など
- 「今行動しないと損かも…」という心理を引き出す
- ただし理由のない限定は不信感を生むので注意
- 社会的証明
- 「購入者が●●名」「レビュー平均4.8以上」など、周りの高評価による安心感
- 誇張や捏造がバレると信用を失うため、事実ベースが必須
今すぐ行動!タスク
- あなたの商品やサービスで、「限定性」をどこかに加えられないか考えてみてください(例:先着10名への特典、在庫数の制限など)。
- また、「すでにいる顧客の声」や「累計購入者数」があるなら、社会的証明として短文で提示できないか考えてみてください。
返報性・権威性の威力──“返したい気持ち”や“専門家の信頼”は強い
返報性は有名なので知っている人も多いかもしれませんが、何かをプレゼントされたとき、相手への好感度に関わらず購入する可能性が高いという結果が出ているそうです。
また、権威性はとにかく至る所で使われていますね。「〜〜監修」は全部これだと思って構いません。
- 返報性
- 先に無料レポートや無料動画など“ギブ”を受け取ると、「お返ししたい」と思う心理
- フロントエンド無料 → バックエンド有料という王道パターンにつながりやすい
- 権威性
- 「医師監修」「有名人が推薦」「受賞歴あり」といった形で読者の信用を底上げ
- ただし権威に依存しすぎると逆に怪しまれることも。読者のメリットを優先しつつ使うのが理想です
今すぐ行動!タスク
- 商品やサービスで「無料サンプル」「無料相談」など、読者に負担なく試してもらえる要素を1つ考えてみましょう。
- もし権威性を示せる資格や監修先があれば、それを文中のどこに配置すればもっとも信頼度が上がるかを検討してみてください。例えば冒頭で使えば後半まで読み進める理由のひとつになるかも?
「保証・リスクリバーサル」で決断力を高める──損をしない確信で財布をひらく
「もし合わなかったらお金がムダになる…」とか「本当に私でも成果が出せるのかな…」という不安を消せれば、一気に購入ハードルは下がります。
- 返金保証やお試し期間
- 売り手側がリスクを負い、読者が「損しない」と思えれば買いやすくなる
- その他の保証方法
- 「●日間サポート」「合わなければ無料キャンセル」など
- 商品に自信があるなら、返金リスクより売上アップのメリットが大きい
リスクリバーサルは返報性にもつながり、「そこまでしてくれるなら買わないと逆に申し訳ない」と思う相手が出てくる可能性も想像以上に高いです。
また、有料noteなんかも返金保証がついていることによって無意識的に買いやすくなっている側面もあるのです。
※リスクリバーサルは、買い手のリスクをそのまま引き受けて安心感を与える手法です。「保証」自体もその一部といえますね。
今すぐ行動!タスク
- 商品に自信があるなら、「返金保証」を一度検討してみてください。
- 難しいなら、「成果保証型」や「サポートの充実」を強調するなど、読者が損を感じない別の仕組みを考えてみましょう。
“非常識な”組み合わせ方
ここでは、少し変わった組み合わせを紹介します。
定番の流れを崩すことで、読者の興味を強く引くテクニックです。
持っている商品にハマればめちゃくちゃ効果があります。
価格を先出ししてから物語を語る──先に数字で惹きつけ、後で納得を作る
通常はボディやクロージングで価格を出すのが定番です。
しかし、最初に価格をぶつける方法もあります。
- いきなり「この商品は10万円です」と提示
- そのあと「実はこういうこだわりがあるんです」とストーリーを展開
離脱する人もいる一方、「そんな価値があるなら理由を知りたい」と最後まで読む人もいるわけです。
結果的に、納得できた人には「高いけど買う価値がある」と思われやすくなります。
ちなみに、価格で離脱する人はレターを最後まで読んでも価格で離脱する可能性が高いので、意外と有用な施策です。
今すぐ行動!タスク
- あなたの商材がもし高額なら、“価格を先出し”するパターンで文章を組めないか検討してみてください。
- 低単価商品や価格根拠が薄いケースには向かないので、無理に使わず、別の“非常識”を考えるのも手です。
挫折を入れるメリハリ──苦労があるから成功が際立つ
「理想の未来」だけ語っても、読者には
あーはいそれね
とスルーされがち。
そこであえて失敗談や挫折シーンを挟むと、ストーリーにリアリティが増し、読者の共感を得やすくなります。
- 「私も最初は◯◯を試して大失敗。時間もお金もムダにして借金まみれ…」
- 「でも△△に出会ったおかげで状況が一変し、借金を返済できただけでなく儲かりました」
この落差が大きいほど、「同じ失敗を知ってるなら信用できるかも」と読者は思い、成功例とのギャップに強い説得力が加わります。
成功ばかり目を向けがちですが、先人の失敗も読者にとっては知りたいことなのです。
今すぐ行動!タスク
- あなたの商品やサービスに関連する失敗談を1つ用意し、そこからどう立ち直ったかをセットで書き出してみてください。
- 読者が「私も似た経験があるから、これは信頼できそうだ」と共感するようにできるとベスト。
矛盾で注目を奪う──「それ本当?」と疑問を持たせ最後まで離さない
もう一つの方法として、冒頭から矛盾めいた逆説を掲げるのも面白いです。
- 「フォロワーを増やしたいなら、投稿するな」
- 「高額商品は安売りしたほうがいい? いいえ、むしろ値上げです」
人は常識を覆すフレーズを見かけると「何それ?」と興味を引かれます。
ただし、後でちゃんと理屈を説明しないと「釣りかよ(ちょっと古いですかね)」と思われるので、最後まで筋道を通すのが必須です。
いわゆる「常識破壊」をして興味付けする、という理屈です。
今すぐ行動!タスク
- あなたのテーマで「界隈の常識と真逆だと思う意見」を1つ考えてみましょう。
- その矛盾を解消する理由を用意したうえで、冒頭に「逆説」を持ってくる文章を試作してみてください。
まとめ──購買心理を押さえて読者の決断を後押し
「心理トリガーは人を操るみたいでちょっと抵抗が…」という気持ちもわかりますが、
それより、良い商品を必要な人に届けられないほうがよっぽど大きな損失ではないでしょうか?あなたにとっても読者にとっても。
トリガーやモデルを組み合わせることで相乗効果が生まれる──掛け合わせが売上を伸ばす
購買心理モデル(AIDMAやPAS)と、限定性・社会的証明・返報性・権威性・保証などのトリガーは、互いを補完し合う関係です。
- Attention(注意)を引くときに社会的証明を組み合わせる
- Desire(欲求)を高めるときに権威性を示す
- クロージングで返報性やリスクリバーサルを加える
こんな感じで掛け合わせれば、読者は自然に行動へ導かれます。
ただし、あれもこれもと詰め込みすぎるとくどくなるので、最初は使うトリガーを2〜3種類に絞るなどがコツです。
今すぐ行動!タスク
- AIDMAの各ステップ(Attention、Interest、Desire、Memory、Action)に対して、どのトリガーを使うか簡単にスプレッドシートやエクセルで整理してみてください。
- 例:「Attentionでは限定性」「Desireでは権威性」「Actionではリスクリバーサル」など。これだけでも文章構成がイメージしやすくなります。
読者が納得するほど行動は自然に起こる──抵抗なく“買う”未来へ
セールスライティングの目指すところは、読者が“なんとなく流された”のではなく、納得して自発的に決断する状態です。
- 問題を理解し
- その深刻さを痛感し
- メリットを知り
- 損をしないと確信できる
こんなステップを踏めば、「よし、買おう」という行動が自然に起こります。
自分の購買体験を振り返ってみても、そうではないですかね?
もし押し売り感があるなら、どこかで読者が納得する工程を省いているかもしれない、というわけです。
今すぐ行動!タスク
- あなたのセールス文全体を見直し、読者が「納得→行動」するプロセスをすっ飛ばしていないか確認してください。
- 疑問が残りそうな箇所に1行だけ補足を入れて、「だから最後に行動しませんか?」と繋げると自然に誘導しやすくなります。
次章へ:セールスレターの構成で心理を形にする
ここまでで、購買心理モデルや心理トリガーの重要性を理解していただけたと思います。
しかし、これらを本当に活かすには、セールスレター(LPなどの長文)の構成を知る必要があります。
- ヘッドライン → リード → ボディ → クロージング → CTA(行動ボタン)
- どの順序でトリガーを配置し、どう読者を誘導するか?
第3章では、そんなレター構築のテクニックを深掘りします。
ここで学ぶ文章組み立ての方法は、SNSやメルマガにも応用できるので、いろんな視点で読んでみてくれると嬉しいです。
